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マーキングフィルムを賢く使い分ける!キャストとカレンダーの製造方法と特性を徹底解説

更新日:7 日前


マーキングフィルムを賢く使い分ける!

街中の看板や公共施設の案内板、さらには企業ロゴをまとった社用車や店舗のウィンドウなど、私たちが日々目にするさまざまなモノや場所で使用されている「マーキングフィルム」。その用途の広さからもわかるように、マーキングフィルムは屋外・屋内問わず視覚的な情報伝達において重要な役割を果たしています。

そんなマーキングフィルムには、大きく分けて「キャストフィルム」と「カレンダーフィルム」の2種類が存在します。両者は製造方法が異なり、それによって性能や適性にも明確な違いがあります。この記事では、それぞれの特徴をわかりやすく整理し、選定のヒントとなるような情報をお届けします。ぜひ、最後までご覧ください。




目次



1.キャストフィルムとは?

キャストフィルムは、溶かした塩ビ樹脂を工程フィルム(キャリア)の上に流し加熱・乾燥させる製法で作られたフィルムです。この製造方法は耐候性・柔軟性に優れ、時間が経ってもフィルムが伸びたり縮んだりしにくく、寸法の安定性に優れているという特長があります。


キャスト製法の解説図
溶かしたPVC原材料を流し込み乾燥させる製法


キャストフィルムの メリット 


  • 曲面追従性に優れる

    厚みが70µm前後(粘着剤含む)と非常に薄く、凹凸面や曲面にもしっかりフィットします。


  • 寸法安定性が高い

    伸縮しにくく、施工後の形状をキープしやすいのが特長です。


  • 耐候性が高い

    紫外線や風雨といった自然環境に強く、長期にわたって色あせや劣化が起こりにくい性質を持ちます。


キャストフィルムの デメリット


  • 価格が高い

    製造に時間と工程フィルムなどの副資材のコストがかかるため、カレンダーフィルムと比較し価格が高くなることが一般的です。


  • 施工がやや難しい

    キャストフィルムは柔らかくしなやかな反面、施工時には丁寧な取り扱いが必要になることがあります。特に気温の高い夏場などではフィルムがさらに柔らかくなるため、シワやヨレに注意が必要です。



2.カレンダーフィルムとは?

カレンダーフィルムは、塩ビ樹脂を高温で柔らかくした後、複数のローラーで圧延して薄く成形する製造方法で作られます。均一な厚みを持ったフィルムを大量生産しやすいという利点があります。

成形時にはフィルムの樹脂が一定方向に引き伸ばされるため、長期間の使用では縮みや変形が起こることがありますが、製造効率が高いためコストパフォーマンスに優れ、イベントや広告などのサイン用途として広く使われています。



カレンダー製法の解説図
複数のローラーで一定方向に力を加えながら押し出す製法

カレンダーフィルムの メリット


  • コストが安い

    キャストフィルムに比べて大量生産が可能なため、価格が安く抑えられます。


  • 施工性が良い

    硬く厚みがあり伸びにくいため、初めての方にも扱いやすいフィルムです。簡易的な施工でも安定した仕上がりが期待できます。



カレンダーフィルムの デメリット


  • 寸法安定性にやや劣る

    製造過程でフィルムを延ばして成型しているため、時間が経つと元の形に戻ろうとして縮む傾向があります。


  • 曲面に弱い

    硬めの素材で伸びが少なく、複雑な曲面や凹凸のある面には不向きです。


  • 耐候性はキャストに劣る

    設置環境にもよりますが屋外で長期間使用すると、経年劣化の可能性が高まります。



キャストとカレンダーの違いをまとめてみました。



どちらにも特徴があり得意とする分野も異なりますので、環境や用途、予算に合わせて選ぶのがポイントになります。もう少し掘り下げてみていきましょう。




3.「キャスト」と「カレンダー」どちらが適してる?

フィルムの特性を理解した上で、用途に応じた選定を行うことが仕上がりの向上につながります。使用環境や求めるビジュアル、耐候性、施工技術などを考えながら適切なマーキングフィルムを選びましょう。



キャストフィルム

企業ロゴを施した車両マーキングや長期掲示を前提とした屋外広告、シャッターマーキングなど、耐候性や形状追従性が求められる場合にはキャストフィルムが向いています。


キャストマーキングフィルムの使用例




カレンダーフィルム

イベントや展示会などで一時的に使われる案内サインや、屋内の装飾・POPなど、施工のしやすさやコストを重視する場面では、カレンダーフィルムが向いています。

商業施設のシーズンキャンペーン用グラフィックや、短期のプロモーションツールなどでは、貼り替え頻度やコスト面からカレンダーフィルムが多く採用されています。


カレンダーマーキングフィルムの使用例


このように、目的や条件に応じた選定が重要であり、「どちらが優れているか」ではなく「どちらが適しているか」を丁寧に見極めることが、仕上がりとコストパフォーマンスを両立させるポイントとなります。




4.桜井のマーキングフィルム

桜井株式会社では、お客様の多様なニーズにお応えするために、長期使用を目的としたものからコストパフォーマンスに優れたマーキングフィルムまでご用意しています。



・「Viewcal 900」「Viewcal 920/930」

Viewcal900シリーズ見本帳

屋外耐候5年~7年の、高い柔軟性と耐候性を兼ね備えた、長期間にわたり高品質な仕上がりを保つことができるキャストマーキングフィルムです(一部カレンダーフィルムがあります)。一般的な屋外サインはもちろん、トラックのコルゲートやリベット、視認性と耐候性が求められる屋外広告や車両マーキングなどでその力を発揮します。

「Viewcal 920」「Viewcal930」はそれぞれ透過、半透過の製品でアクリル板やFFシートに適した特殊粘着剤を使用しており、主に電飾看板などに用いられるマーキングフィルムです。



・「Viewcal 880」「Viewcal860」

Viewcal880シリーズ見本帳

屋外耐候5年の、コストと施工性のバランスを重視したカレンダーフィルムのマーキングフィルムです。一般的な看板用途やイベント会場の案内板、商業施設の装飾などにもご利用いただいています。



Viewcal860はカストリ適性に優れ、青色剥離紙を採用することでカストリ時の視認性を向上し、フィルムロスのリスクを軽減したマーキングフィルムです(ホワイト/ブラック/マットホワイト/マットブラックの4種)。

Viewcal860の青剥離紙

今回ご紹介したマーキングフィルムは国内で生産され、品質はもちろん施工時の使い勝手や仕上がりの美しさにも定評があります。マーキングフィルムを選ぶ際は、実際の用途や貼り替え頻度、施工場所の状況などを踏まえて、適した製品を選んでいただくことが大切になります。弊社ではサンプル(200mm×200mm)のご提供も行っていますので、実際に触ってみたい、色を確認したいなどご要望がありましたら是非お問い合わせください。







※2025年4月現在の情報です。在庫がなくなり次第、順次終了となります。




5.まとめ

いかがでしたでしょうか。

マーキングフィルムは、一見するとどれも似たように見えますが、キャストとカレンダーという2つの製法により、その特性に明確な違いがあることがお分かりいただけたかと思います。フィルム選定においては、単純に「価格」や「見た目」だけでなく、使用環境や耐候年数、施工のしやすさなど、多角的に判断することが大切です。

本記事の内容が、皆さまのフィルム選びの一助となり、より良い仕上がりにつながれば幸いです。





執筆者紹介

七里 聡

1993年 桜井株式会社に入社。

自社で販売するシステムのメンテナンス部隊で機械に強くなった傍ら、Illustrator®を駆使して社内外のデザイン業務を担う。現在はソリューション営業部で日々Webマーケティングの勉強をしながらWeb製作に身をささげる。夢はザック一つで日本縦断旅行をすること。


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