目次
1.色を数値化
4.実際の使われ方
5.まとめ
1.色を数値化
私たちは日々、さまざまな色を目にしていますが、「その色をどうやって正確に伝えるか」を考えたことはあるでしょうか?たとえば、「ちょっと暗い赤」など、言葉だけでは曖昧になることもありますよね。自分が考えている色を他人に正確に伝えたい、そんなときに役立つのが色を数値と記号で表した「マンセル値」です。
弊社(桜井株式会社)のマーキングフィルム「ビューカル900シリーズ」は、168色※のさまざまな色味を取り揃えていますが、そんな微妙な色の違いを伝える手段としてマンセル値を採用しており、色見本帳にはマンセル値の一覧表をつけてお配りしています。
今回はそんなマンセル値について詳しく見ていきたいと思います。
※不透過タイプ・2024年12月現在
2.マンセル表色系・マンセル値とは?
マンセル表色系とは、色を「色相(Hue:ヒュー)」「明度(Value:バリュー)」「彩度(Chroma:クロマ)」の3つの属性で表す方法です。そしてこの3つの属性を数値化したものがマンセル値です。
この仕組みは、アメリカの画家であり美術教師でもあったアルバート・マンセルによって考案されました。彼が目指したのは「色を体系的に、誰でも同じように理解できる方法を作ること」でした。
3.マンセル値の仕組み
マンセル値は以下のように色を分解して表現します。
色相(Hue:ヒュー)
色の種類を表します。「赤(R)」「黄(Y)」「緑(G)」「青(B)」「紫(P)」の5色相を基本として配置されます。そして、基本色の中間色「YR(黄赤)」「GY(黄緑)」「BG(青緑)」「PB(青紫)」「RP(赤紫)」の5色が入り、計10色で色相を表します。
明度(Value:バリュー)
色の明るさを示します。0が理想的な黒、10が理想的な白を表します。たとえば、同じ青でも暗い青と明るい青を区別できます。
彩度(Chroma:クロマ)
色の鮮やかさ(白・黒などの無彩色からどれだけ離れているか)を表します。数字が小さいほど無彩色に近く、数字が大きいほど鮮やかになります。ただし、最高彩度の値は色相ごとに異なります。
ここで、実際にビューカルの「VC92324 ジャスミン」のマンセル値を見てみましょう。
色相は赤紫よりの赤、明度は白よりも黒に近く、彩度は0から遠く鮮やかな色ということがこの数値から読み取ることができます。実際の色はぜひ見本帳でご確認ください。
4.実際の使われ方
マンセル値は、デザインや建築、印刷、塗装など、色を正確に伝える必要がある分野で活躍しています。たとえば、企業のブランドカラーを指定するときや壁の塗装色を選ぶとき、マンセル値を使えば同じ色を再現できるため、意思疎通がスムーズにできます。
人によって感じ方に差が出る色彩を客観的に表現できることから、京都や東京など各都市の景観条例の色彩基準としても採用されています。
5.まとめ
マンセル値を使うことで、色を「曖昧な感覚」ではなく、「具体的な数値」で伝えられ、デザインや製品の品質管理がより正確になります。
マンセル値は一見難しそうに感じるかもしれませんが、基本を押さえればとても便利なツールです。「色にまつわる仕事をしているけどマンセル値を活用する機会がない」という方も、これを機にマンセル値に触れてみてはいかがでしょうか。
※「ビューカル900シリーズ」の色とマンセル値はこちらのページからご確認ください。
執筆者紹介
葉山 和裕(Kazuhiro Hayama)
散策をしていると見慣れた企業の看板が全く違う色彩・デザインで現れることがあり、
その度に「ここには景観条例があるのか…」と特別な地域であることを知ることができるのが楽しみの一つ。